2018年9月6日木曜日

平成31年度東大SPH合格!

平成31年度東大SPH合格しました!

私、東京から遠方に住んでいるため、Twitterで合格発表の掲示板の写真をDMで募集して心優しい方に送って頂きました。ありがとうございます。

正直、自分は東大SPHを受験することについて自分の周りの人間(家族にも)には誰にも伝えていませんでした。
一度、受験したいことを周囲に漏らした時、「何言ってんの?無理でしょ?」というニュアンスで小馬鹿にされたので自分一人の力で合格してやると決めました。

でも、今の時代便利ですね。
SNSを利用すれば同じ志を持った方や憧れる人はすぐに見つかる。
このような方々の支えが今回の合格につながったと思っています。
直接お会いして感謝したいのですが、ひとまずここでお礼を申し上げておきます。
ありがとうございました!

今度は自分がそのような立場の人間になれるよう努力してまいります。


さて、ひとまず合格できて一安心ですが、まだやることはいっぱいあります。
退職、お金のやりくり、住居、入学までの勉強。
今日からこのあたりについて行動して入学に備えます。



2018年9月3日月曜日

試験当日

東大SPH試験当日の私の感想です


【筆記試験(2018年8月20日)】
試験開始は9時半。
私は東京に近くないところに住んでいるので余裕を持って朝5時に起きて始発で東京に行きました。
行きの新幹線で最後の追い込みをしようと思ったのですが、早起きしすぎてほとんど寝ていました笑。
到着したのは8時半。気持ちを落ち着かせるには十分でした・・が、結局落ち着きませんでした。
血糖値を下げないようウイダーinゼリーを複数持っていき、すべての試験の直前に一つずつ摂取するようにしていました。
休憩時間は周囲の人がいないところ(試験会場の2階のベンチ)に座って集中力を高めていました。ここのトイレには誰もこなかったので、いい場所を見つけれてよかったです。

英語終了時点で「やばい・・」と思い、
公衆衛生・統計終了したときは「お、いけるんじゃね?」を余裕をぶっこいて、
記述終了後は「・・・大丈夫・・いける!」と自分に無理やり言い聞かせました笑

とにかく記述は肘の疲弊が尋常ではなかったです。


【口述試験(2018年8月23日)】
13時開始だったのですが、9時頃に東大に着きました。
正直、暇でした。

私が聞かれた質問内容は
  • 職務経歴と志望理由を簡単に。
  • (小論文の内容に対して)今の自分のレベルで考えてその問題についてどう解決すべきだと思うか。
  • それを解決するのに必要な知識はなんだと思うか。
  • かかりつけ薬剤師どう思うか。
  • 大学院やめてるけどなぜか。
  • 卒業後はどのような進路に進む予定か。

特に詰まることなくスムーズに回答できました。

今年は圧迫気味の面接が多かったそうですが、私は全くそんなことなく、10分以内に終わりました。
逆に落ちていないか不安でした。。。



参考書籍

実際に自分が東大SPHの受験勉強で購入した書籍です。
他の東大SPHブログでも紹介されている書籍ばかりですが、個人的な感想も添えておきます。


【疫学】


【統計】
【公衆衛生
  • 公衆衛生がみえる [ 医療情報科学研究所 ]」:医療者であれば国家試験で勉強した内容+普段の業務で知っている内容がほとんどなので、かなり読みやすい。ただ、足りない部分もあるので、インターネットでさらに情報を収集し、書き込んで自分仕様に仕上げる必要がある。毎年更新されているので最新号を購入しましょう。
【健康教育】
【倫理】
  • 入門・医療倫理 I」:医療倫理の勉強をしたことがないなら、買っておいた方がいい。ただ、記述で倫理を選択しないのであればコスパは悪い。自分は記述で倫理を選択しなかったが、購入。単純に読んでて面白かったので後悔はない。



【感想】
合格者が推奨している書籍はほとんどハズレがないと思いました。
ただ、自分のレベルも十分理解した上で購入するべきです。
必ず本屋・図書館で実物を見てから購入してください。決して安い本ではないので。。




東大SPH受験勉強(詳細)

今回は私が実際に実践した東大SPHの受験勉強について記していきます。


【いつから開始したか】
筆記試験のちょうど100日前(2018.5.12)


【勉強計画・勉強時間】
  • 基本的に週単位で勉強計画を立てた。仕事をしていると絶対予定通りにいかないため、必ずバッファをもたせて計画を立てる。
(例:6週間で6年分過去問解く予定を立てる→急な仕事や疲れてできない場合を想定して、3日分のバッファを作る→6週間後、1日分のバッファを使い目標達成→前回の計画を評価して、次回の目標を週単位で立てる→これの繰り返し)
  • 勉強時間は帰宅後、隙間時間、週末をフル活用。
  • 平日は頑張って2時間(途中で寝落ちすることも多々あり、何度も後悔した)
  • 休日は仕事がなければ5〜7時間。仕事だと2~3時間。


【過去問は何年分?】
2018〜2013年度の6年分


【モチベーションの維持】
  • 自分が東大で勉強している姿を常に思い浮かべる。
  • Twitterで毎日必ず自分が勉強した内容を呟くというルールを作った(寝落ちしたら翌日)。
正直、Twitterの影響は大きい。誰かに見られているという意識がつくので毎日勉強が継続できた。


【記述問題対策はどの分野に絞ったか】
疫学、予防医学、精神保健、公衆衛生方法論

4問を選択するので余裕をもって5分野程度の対策を立てるべきだが、

  • 医学統計→よほど得意ではないと無理。電卓を使えないのも大きい。
  • 健康教育→理論を理解してそれを実践に落とし込むことが求められる。書籍を購入したが、全然頭に入らなかったので捨てた。
  • 医療倫理→独学で対策を立てるのはコスパ悪い
  • 医事法→医師でないなら捨てた方がいい。一から勉強するのはコスパ悪い。
  • 医療情報システム→まあ捨てるでしょう。
と、いうことで4分野だけで勝負することにした。

  • 疫学→出題者の考えを理解するには「わかりやすいEBNと栄養疫学 [ 佐々木敏 ]」は必須。「基礎から学ぶ楽しい疫学第3版 [ 中村好一 ]」も疫学研究方法やバイアスなどわかりやすく書いてあり、本質の理解をする上で役に立った。
  • 予防医学→過去問のようなスクリーニング検査の計算は100%解けるようにしておく。電卓を使えないので計算間違いしないよう訓練もしておくべき。「基礎から学ぶ楽しい疫学第3版 [ 中村好一 ]」でスクリーニングの本質や疫学指標を理解する上で役に立った。
  • 精神保健→職場で契約している医学雑誌の検索で出題者であろう教授の名前で雑誌記事を検索。出題者が考えている精神保健問題は何で、どのような考えで考察をしているのか、その傾向を把握するようにした。その他に国内・国外の精神保健に関する取り組みついてインターネット通じて情報収集。「WHOメンタルヘルスアクションプラン2013−2020」のように達成目標が定められているものはその背景に何があるのかも考察するよう努めた。
  • 公衆衛生方法論→疫学の勉強の延長。同じ書籍(「わかりやすいEBNと栄養疫学 [ 佐々木敏 ]」、「基礎から学ぶ楽しい疫学第3版 [ 中村好一 ]」)を用いて、方法論について勉強すれば十分。


【実際の勉強】

まずは
ブログ「東大SPHを目指す貴方へ」様にアップされている過去問の模範解答と資料をiPad proにダウンロードしてGoodNotesに保存。
Apple Pencilでわからないところや不足してると感じた部分を書き込んで自分仕様にした。

学生時代のように手書きの勉強ノートは作成していない。
収集した資料や自分でまとめておきたいことはEvernoteに管理。
極力デジタル化をしてiPhone、iPadでいつでも勉強できる環境にした。


<最初の6週間>
  • 1週間で1年度分の過去問を公衆衛生、統計、記述に分けて解いた(記述は疫学、統計、健康教育、精神保健、公衆衛生方法論)。
  • 英語はウィークポイントなので、毎日過去問を一問ずつ解いた。
  • 自宅のホワイトボードに自分が解いた年度をチェックし、現在地を把握。
  • また、月〜日の欄も作って今週自分が何の勉強をしたか把握するようにした。
「問題を解く→模範解答を見る→資料を見てその解答が正しいか自分で再確認→その周辺知識を強化」という流れで行った。



<次の3週間>
  • 過去問の2週目を行うため1週間で2年分の過去問(公衆衛生、統計、記述)を解くようにした。
  • 2週目なので自分の弱点が浮き彫りになるため、そこを重点的に強化した。
  • 英語は毎日過去問を精読 or lancet +単語強化
単語強化は「過去問を解いた時にわからない単語はエクセルにまとめる」+TOEFLテスト英単語3800で問題にだされそうな単語を通勤時間に覚えるようにした。



<次の2週間>
過去問から離れて知識を身につけることに全力を注ぐ。
この時、肘の手術のため約1週間ほど入院。まとまった時間を確保できた。



<次の3週間>
過去問3週目を行う。
  • 今度は年度ごとではなく、分野ごとに6年分を解いた。(例:3日間で2018〜2013年度の統計だけをぶっ通しで解く)
  • 倫理:当直の隙間時間を利用して基礎編は全て目を通した。
  • 英語:毎日過去問を精読 or lancet +単語強化


<最後の5日間>
  • 全分野の不安な箇所を再確認
  • 英語:毎日過去問を精読 or lancet +単語強化
  • 小論文は3日前からまとめた(1年前に一度まとめていたので)



【今回の試験対策で学んだこと】
仕事をしながらの勉強は本当に大変。。。
  • 実現可能な短期的の計画を立て、その計画をきちんと評価する!
  • バッファをもたせた計画を立てる!
  • 勉強時間の捻出に努める!(隙間時間を有効に使う)
  • モチベーションの維持に努める!(いいイメージを持つ、他人に公言するなど)

是非とも参考にしてください。

SPH受験するまでの軌跡

私がどこで公衆衛生学・School of Public Healthに出会い、なぜ東大を選んだのか。
簡単に記しておきます。


【公衆衛生学・School of Public Healthをどこで知ったか】
私、実は自分探しをするために2016〜2017年に社会人学生として出身大学の博士課程に在籍していました。
明確な目的を持っていなかった自分が悪いのですが、何から手をつけていいかわからず、
早々に悩みました。あまりにもわからないので教授や助教の先生に何も聞けず、研究室にいくのが怖くなってしまいました。
大学院の授業も「帰りたいだろうから早く終わるねー」という教授ばかりで何にも身につかず、1年で退学を決めました。
そんな中、自分が悩んでいることを教授に伝えると、ある人を紹介されました。
その方は海外のSPHを卒業され、臨床研究支援の会社を立ち上げていました。この時は人生についていろいろと相談に乗ってもらい、気分が晴れました。
その後、公衆衛生大学院について自分で調べて行くなかで、この分野は「統計・疫学など様々な分野を横断して、医療や健康について集団を対象として介入していくもの」で、医療に対してこういった視点から介入することもできるんだということを知り、純粋に「勉強したい」という気持ちになりました。

ここの大学院に行ったことは失敗でしたが、公衆衛生学・SPHを知るきっかけを与えていただいたことは感謝しています。



【なぜ東大か】メインの理由は以下の通りです。

  1. 医療政策にも関わりたい→そのためには東京に行くのがベストだろう。
  2. 研究室を選ぶのは入学後だから。入試前に研究室テーマを決めて研究室に挨拶に行くのは正直もういやだ(博士課程で失敗したので)。
  3. 純粋に試験で合否がきまる、今までの研究実績を問わない→努力すれば合格できる
  4. 仕事を辞めて学ぶのであれば学費は安い方がいい→当然、国公立。
  5. オープンキャンパスの印象がよかった。


【なぜ2年コースか】
実務経験としては6年目なので1年コースの受験資格はあります。
単純にじっくり勉強したい、卒論を書いて疫学のノウハウを学びたいという理由で2年コースにしました。



【東大SPHの受験は2回目】
 東大SPHを知ったのは2017年のオープンキャンパス。
この年に受験しようと思い、過去問を取り寄せて勉強開始。
しかし、1ヶ月ほど勉強したところで、「仕事を辞めてまでいく価値があるのか?」「明確な目的を持っているのか」「ていうか、自分には無理だろ」と自問した結果、SPH入学を断念してしまいました。
ただ、受験申し込みは終えていたため、ほぼゼロ勉強で試験を受けました。
当然、落ちますよね笑
なので、今年受験をする時点で試験会場やその雰囲気はすでに知っていました。


【転職活動】
 1回目の東大SPHを受験した後、自分の考えをしっかりとまとめて、今度は働きながらいける大学院を探し始めました。
聖路加でMPHあるいは東京医科歯科でMMUを取得しようと考え、東京への転職活動を開始しました。
「今までは目の前の患者に対して医療を提供してきたから、今度は医療を外からみる経験をしよう」
そう思い、製薬会社でのMSL職・医療系コンサルタント・医療系ベンチャー企業への応募をし、そのうちいくつか書類選考が通り、面接まで行きました。
・・結局、うまくいかず・・
最後にうけたコンサルティング会社の面接が落ちた後、自分の考えをまとめたノートを見直して、数日間頭の中を整理しました。
「人生一度きりだから、厳しい環境に身を置いて全力で自分がやりたいことを突き詰めよう」
そう決意して東大SPHにもう一度挑戦をしました。

2018年9月2日日曜日

自己紹介と私のスペック

【ブログの目的】
2019年度入学の東京大学大学院医学系研究科専門職学位課程公共健康医学専攻(東大SPH)に受験し、一次試験を突破しました。
東大SPH受験に関するブログは少ないのですが、どれもとても参考になりました。
そこで、今後受験される方にも自分の体験が参考になればと思い、書くことにしました。

私は他のブログを書いている方と違って、医師ではなく、東大卒でもありません。

ベースのスペックが高くないけど一次試験は突破できるという一例として参考にしていただけると幸いです。



さて、私の自己紹介とベースのスペックです。

【年齢(2018年9月3日現在)】
29歳(卒後6年目)、独身

【職業】
薬剤師(6年制卒)
急性期の病院勤務でがん病棟からICUまで幅広く経験。

【出身大学】
私立大学の薬学部

【大学時代の成績】
上位12.5%に入るか入らないか程度
(ちなみに大学には指定校推薦で入ったため、がっつり受験勉強はしていない)

【英語力】
TOEIC、TOEFLなどの英語能力テスト受験歴なし
仕事で臨床疑問を解決するために原著論文やUp ToDateをつまみ読む程度

【統計・疫学に関する知識】
論文を読むのに必要な統計・疫学の知識は書籍で勉強していた。
しかしながら、問題を解く能力はなし。(高校時代は確率のところで赤点とった)

【医療知識】
薬剤師という職業なので常に医療に関する情報はチェックしていた。
薬剤師国家試験はもちろんパスしているので医療法規・公衆衛生に関する知識は一定レベルであり。



・・大したことない普通の薬剤師です。


こんな自分でも勉強すれば一次試験はパスできました。

次回は私がなぜ東大SPHに出会い、選んだかを書こうと思っています。